健康食品やサプリメントは、疾病の予防や治療の効果を期待して用いるものではなく、健康への効用をしめす表現が認められているのは、通称『トクホ』といわれる「特定保健食品」と、「機能性表示食品」などの一部の食品に限られます。
メディア等で個人の使用体験談など、疾病の予防や治療に効果があるかのように大々的に行われる誇大広告に問題があります。
医薬品と違い、成分の含有量や品質に規制や基準はなく、中には無承認無許可の医薬品成分が含まれた製品や、アレルギーや肝障害をおこす成分が含まれた製品もあり多くの健康被害が報告されています。
現在、サプリメントは大よそ3人に2人が使用されており、1995年に規制緩和で、サプリメントが販売されてから、メディアなどで情報が消費者の誤解を生み、医療従事者もサプリメントの『有用性情報』に振り回されています。
食欲抑制剤や甲状腺ホルモンといった危険な薬剤が混入したダイエット食品も輸入されており、その他にも、肝障害を引き起こしたサプリメントも多く後を絶ちません。アガリクス製品では、発がん性が指摘される商品も見つかっています。
●痩身目的で『雪茶』を飲用1ヶ月半後、下痢症状が出て2週間で落ち着いたが、全身倦怠感、腹部膨満感、嘔吐・悪心。体が黒っぽくなり、近医を受診したが良くならず、約1ヶ月後、検査値は高く入院。
患者家族が、厚生労働省のホームページに『雪茶による肝機能障害』が掲載されているのを見つけ、これによる肝機能障害を疑い、安静のみでの療養。徐々に肝機能は軽快、3週間後には退院。
●友人に、CoQ10をすすめられ、服用を始めて2~3ヶ月頃より咳が出はじめた為、受診したら軽い肺炎といわれた。
クラビット錠を8日間服用後、クラリス錠を15日間服用しても改善せず、CoQ10の副作用を疑い、服用を中止。プレドニンによる治療を53日間行い完治。
●C型肝炎、便秘、高血圧症、逆流性食道炎にて、オメラップ、マグミット、アムロジピン、サプリメントとでローヤルゼリー(10年以上)服用。関節痛で、植物由来のグルコサミン「HAC」服用開始。3週間後、整形外科を受診し、ロキソニンテープを処方され、疼痛管理をしていた。
服用開始2ヶ月後の血液検査で肝機能障害の疑いありと指摘され、3日後の検査で、ロキソニンテープによる 副作用の可能性も検討し、同剤を中止。その1週間後、急激なガクンとした疲れを訴えた為、両サプリメントを中止。中止4ヶ月後回復。
グルコサミン摂取による、血糖値、血圧、 血中コレステロールの上昇などが懸念されます。糖尿病、脂質異常症、高血圧のリスクのある患者が服用する場合は、注意が必要です。
●健康維持の為、DHA、ブルーベリーエキス服用。約1ヶ月後にめまい、嘔気、嘔吐、倦怠感出る。メイロン注、エリーテン注にてやや改善。5日後には、白っぽい便、茶褐色尿あり、食欲不振が続く為入院。DHA、ブルーベリーエキスの服用を中止。ソルデム3A、ネオファゲン注、サブビタン開始。入院1ヶ月後、肝生検にてアレルギー性機序による急性肝障害の発生と考えられた。
販売元に集約された過去5年間の肝機能障害の報告では、DHA19件、ブルーベリーエキス30件。いずれも軽度で併用薬がある為、因果関係は不明です。
急性肝炎のほとんどはウイルス性ですが、一部は、アルコール・医薬品・健康食品で生じます。グルコサミン、雪茶などの健康食品やナイシトールなどの漢方薬でも肝障害が生じ、症状は風邪症状に似ていますが、ビリルビン値が上昇し、眼の黄染・褐色尿・倦怠感などが生じます。
肝障害など、時には重篤なものも発現する可能性があると啓発する必要があります。
健康な身体をつくるには人の身体も自然体なので、自然な食材で補う事が大切です。