【逆流性食道炎とは】
胃の中で胃液と食べ物と混ざり合った物が食道に逆流する病気で、胃液の強い酸性が食道に逆流すると、食道の粘膜がただれたり、潰瘍ができる可能性が高くなります。
【逆流性食道炎が起こる原因】
食道と胃の入り口あたりにある下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)の筋力の低下があげられます。通常は、下部食道括約筋が胃液の逆流を防いでいるのですが、この筋肉が加齢などでより緩み、胃の中の物が食道に戻ってきてしまい炎症が起こります。また、食べて直ぐ横になる体勢も逆流し易くなるのでよくありません。食後30分は安静にされることをお勧めします。
逆流性食道炎は若い人にも増えている現代病です。原因の一つは、「便秘」によって腹圧が高まることで、腸から胃に圧迫を受け、食道への逆流が起こり易い状況になり、常習性便秘症の人の約10%に逆流性食道炎が見られます。また、脂肪分の多い食事をすると、十二指腸からコレシストキニンというホルモンが分泌されます。脂肪は他の栄養素に比べて消化に負担が掛かる為、下部食道括約筋が緩んだり胃酸が増えたりします。その為、脂肪分過多も、逆流性食道炎が起こり易くなります。
逆流性食道炎はつらい症状であるだけでなく、放置すると食道がんのリスクが高まります。また、逆流性食道炎の原因となる便秘や高脂肪の食事は、大腸がんのリスク要因でもあります。
【逆流性食道炎の予防】
逆流性食道炎の治療は、飲み薬によって胃酸の分泌量を減少させたり、食道の運動機能を改善したり、胃酸を中和したり、食道の粘膜を保護・修復する薬物療法を中心に行われます。薬物療法で効果がない場合や、重症の場合は、外科的手術を行う場合もありますが、一般的ではありません。
生活習慣の改善では、脂肪分の多い食事を控え、酸味など胃への刺激の少ないものを腹八分目で食べるようにします。また、お腹をベルトできつく締め付けすぎない、肥満に注意するなど、腹圧が高まるのを避けましょう。
食生活では、油をオリーブオイルに変えることで、消化の負担を和らげ下部食道括約筋をほとんど緩めなくする為、胸焼けなどの症状が抑えられます。また、オリーブオイルには便秘を改善する効果もあります。
胸焼けやゲップなどは、少し食べ過ぎた時にも起きる状態であるため、病院を受診するほどではないと思いがちですが、症状が続くようなら、胃腸科、内科、消化器科を受診しましょう。