人体の細胞の数が約60兆個というが常識だった。人の体重を60kg(体積が大よそ60リットル)として、細胞の大きさを1辺10マイクロメートルとすると約60兆個分になるというかなりアバウトなものだ。
イタリアの生物学者『エヴァ・ビアンコニ』らは、人体それぞれの器官の細胞数を、文献的、数学的なアプローチで統計的に計算し、成人の細胞数は約37兆2000億個と推定した。人体の細胞数を論理的に調べ上げ、論文にしたのは初めてである。
体全身の細胞は、大きさも形も様々で、骨格筋細胞は円柱状、赤血球は円盤状、神経細胞は棘状、繊維状に細長くなっているものもある。それぞれの細胞に与えられた働きがあり、その働きに見合った形や大きさになっている。
一番大きな細胞は、骨格筋細胞で、直径が0.1mm、長さが10cm以上になる。長いもので神経細胞の中に1m以上のものもある。卵子も大きいものの一つで、直径が0.2mmと肉眼で確認できる大きさだ。
小さなものでは、血小板が0.001mm程度。精子も非常に小さく、細い尾の長さは0.05mmほどあるが、頭の部分は尾の長さの10分の1以下である。
精子が小さいのは、非常に長い距離を移動する為に、小さく軽い方が便利だ。精子は遺伝子を運ぶための尾と、それを動かすミトコンドリア、そして遺伝子の詰まった頭の部分だけなので、大きい必要はない。
その最大の細胞の1つと最小の1つが結合した受精卵1つが分裂を繰り返し、様々な形に細胞分化し、37兆個に増殖し人体はできあがる事の生命の不思議さに驚かされる。