【痛風とは】
痛風は尿酸が体の中に溜まり、それが結晶になり激しい関節炎を伴う症状になる病気で、放置すると体のあちこちに結節が出来たり、腎臓が悪くなったりする重大な病気です。身体の中には、エネルギーの源である『プリン体』という生きていくうえで欠かせない物質があります。これは遺伝子にも含まれており、プリン体が代謝されると最終的に尿酸という物質になり、身体には一定量の尿酸が含まれています。いろいろな理由で血液中の尿酸の濃度が高くなり、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症という状態になります。高尿酸血症が長く続くと関節の中で尿酸が固まり、固まった尿酸が関節の骨と骨の間(関節腔)に落下すると白血球が攻撃し痛風発作が起こります。痛みが激しく、歩行困難になることも少なくありませんが、大抵の場合、1週間から10日で治まり暫くすると全く症状がなくなります。当初は年1~2回程度の頻度ですが、放置すると次第に頻発・慢性化します。
尿酸値の高い方のなかで痛風発作を起こすのは一部です。また、足の親指のつけ根が痛いのがすべて痛風ではなく、外反母趾や感染症、変性疾患などのケースもあります。
【痛風の歴史】
痛風は最も古くから知られた病気の一つで、エジプトから発掘されたミイラの関節の中に尿酸塩を見つけたと云う報告があります。日本では明治になってからで、実際に増えたのは戦後、1960年代になってからです。現在では全国に数十万人の痛風患者がいると推定されており、理由は食事内容が欧米化し、動物性蛋白質の摂取量が増えたこと、飲酒量の増加、運動不足によるものと考えられます。
【痛風患者は男性が多い】
痛風は圧倒的に男性に多い病気で、男性が98.5%で女性はわずか1.5%です。痛風の原因である尿酸の血液中の濃度(血清尿酸値)が女性は男性より低く、女性ホルモンに腎臓から尿酸の排泄を促す働きがあり、腎臓から尿酸を出し入れする蛋白質(トランスポーター)の発現に女性ホルモンが影響していると云われています。ですが、女性でも閉経後女性ホルモンが低下すると、この影響は小さくなります。
痛風発作は血清尿酸値が7.0mg/dLを越える状態が数年間以上続かないと起こりません。平均的な男性で尿酸値が1.5mg/dL上昇すると7.0mg/dLに到達してしまいますが、女性は3.0mg/dL上昇しないと到達しないので、高尿酸血症、痛風になり難いです。しかし、女性も遺伝的な病気、薬物の影響、その他の特殊な状態により女性も痛風になります。
【合併症】
痛風や尿酸が高い人に肥満、高血圧、高脂血症、心血管障害、脳血管障害、尿路結石、慢性腎臓病が多い事がわかっており、これらは全て痛風の合併症と言えます。
【予防】
・食べ過ぎない
1日の摂取カロリーを抑え、肥満を解消するだけで尿酸値は下がります。肉や魚の内臓や干物にはプリン体が多いので、食べ過ぎないようにする。
・アルコールを控える
アルコール自体に尿酸値を上げる作用があります。プリン体カットのビールも飲み過ぎてはいけません。日本酒なら1合、ビールなら500mL、ウイスキーなら60mLまでにする。
・水分をとる
尿で尿酸を排泄する為、水やお茶を1日体重の3%を目安にとる。砂糖を含む清涼飲料水は逆に尿酸値を上げてしまうので控える。
例)体重60kg×3%=1.8ℓ
・ストレス解消
ストレスは尿酸値を上昇させます。身体を動かしたり趣味に没頭したり、あなたに合った方法でストレスを解消させる。
・適度な運動
息を止めての無酸素運動は尿酸値を上昇させます。呼吸をしながらの有酸素運動で肥満やストレスを解消させる。