●冷たい飲食物が「冷え」の原因の一つ
歩いたり、運動をしたり、心臓が動いているのも、食べ物からの栄養をエネルギーに変えている化学反応を「代謝」と呼びますが、この代謝で生み出されるエネルギーの75%以上は熱となり、体温維持に使われます。
胃や腸などの消化管内では、消化が行われる際に入ってきた飲食物を温めることによっても熱が消費されるので、飲食物の温度も体の「冷え」に大きく影響しています。
●温かいものを口にする
冷え性を防ぐには体の熱を保持する必要がある為、温かいものをとることが望ましいです。
とくに冷たい清涼飲料やビール、氷やアイスクリームなど注意が必要です。
●体温の日内リズムで、朝食が重要
日常生活で体温は、夜間は低く、早朝は更に低くなり、起床・朝食後は急激に上昇し、その後は緩やかに上昇して夕刻前には最も高くなり、その後、緩やかに下降します。
睡眠中は代謝も低下しており、朝食は1日の活動に向けて代謝を上げ体温を上昇させる為、特に重要です。毎朝の食事は、温かく消化の良い飲食物を摂取することが大切です。朝がゆや雑炊、又は味噌汁とご飯などが理想的です。
夜間は、入浴後の冷たいビールなど低温の飲食物を避け、果物などは、体温の高い日中に食べると良いです。
●無理なダイエットでエネルギー不足
女性は男性に比べて、筋肉量が10%程少ない為、体内で作る熱の割合もその分低くなります。
作り出す熱の量が少ない女性が、何故男性と同じ体温を維持できるかというと、女性の場合は男性よりも体脂肪の割合が約10%多く、体脂肪が断熱材の役割をすることで、熱産生量をカバーしていることがわかっています。適正な体重で適度な筋肉と体脂肪を保つことは共に、女性が体温を維持する為に欠かせないのです。
冷え性は更年期にも多いですが、実は若い女性にも多くみられ、原因は無理なダイエットによる摂取エネルギー不足と、筋肉、体脂肪の減少、その結果として「女性ホルモンのアンバランス」だと考えられます。
●食性を利用して、体のバランスをコントロールする
冷え性だからといって、体を温めるものだけ食べればいいわけではありません。体を冷やす食品は鎮静作用もある為、 火を通したり、体を温める食品と組み合わせて、上手にバランスをとることが大切です。
体を温める食べ物、中間の食べ物、体を冷やす食べ物は上記の表に分類されます。
●温性の食事は、体を温めるだけでなく冷えた状態から回復させる
温性の食品を食べると血液循環がよくなって体が温まります。
健康な女性(20.6±0.7歳)に、体を温めるとされる温性の食事(1812kcal/日・温性食品の重量比53±13%)を5日間とってもらい、食事は、もち米、あじ、鶏肉、生姜など温性の食品の割合が、普段の食事の約3倍になっています。結果、温性の食品を食べることで、安静時の体表温度が高くなることがわかりました。
次に冷水に手を30秒間浸けて、そのあとの体表温度の変化を比較したところ、温性の食品を食べた人は、冷水に手を浸けたあとの体表温度の回復率が高くなることもわかりました。
以上のことから、温性の食品を食べると、体が温まるだけでなく、一旦冷えても、体温が回復しやすくなることがわかります。