人の体の水分量は、胎児:体重の約90%、新生児:約75%、子ども:約70%、成人:約60~65%、老人50~55%です。体内の水は、大きく細胞内液と細胞外液に分けられ、細胞内液は、体内水分の約2/3、細胞外液は1/3を占めています。細胞外液は体内を循環する血液とリンパ液、細胞と細胞の間にある細胞間液に分けられます。血液は、体の隅々まで酸素、栄養素、ホルモンなどを運ぶのと同時に、老廃物や有害物質を体外に排泄させる働きをしています。血液の半分以上は血漿(けっしょう)という液体で、ほとんどが水でできています(血漿の水分は91%)。血漿にはナトリウムイオン、塩化物イオン、タンパク質など様々な成分が溶けており、体に必要な栄養や酸素は、この水分にのせて運ばれます。
体内の血液は、循環の過程で腎臓を通り、ろ過され老廃物が尿や汗で排出されます。腎臓は、血液の中の不要物を多量の水(1日に170~180L)と共にろ過され、その後まだ必要なものと水分を再び吸収させ、残った不要物と水分を尿として膀胱へ送ります。成人の健康な人の平均的排尿量は、1日約1.2Lです。最低でも500mlの尿を排泄しないと老廃物(有害物質)を出し切ることはできません。
腎臓は、体内の水分調節もしており、水分の補給が少なければ尿を濃縮し水の排出を減らし、多ければ尿の量を増やして余分な水分を放出し、体内水分量のバランスを保っています。
人は皮膚(汗)から600ml、呼気(呼吸)から400ml、蒸気の形で水を排泄しています。これは、代謝活動の結果発生した余分な熱を、水の気化熱にかえて蒸気として外へ出しています。水は、余分な捨てるべき熱を受け取り、外へ運び出す役割をしています。
人の平熱は36~37度ですが、体温が2度上がると体調を崩したり、場合によっては死に至る危険性もあります。
汗を掻くことは、体温を一定に保つための重要なシステムで、水は蒸発するときに熱を奪う性質を持っており皮膚から汗が蒸発するときに熱が奪われる為、皮膚表面の温度が下がります。夏に気温が上昇したときや、運動をして身体温度が高くなったときなどに汗を掻くのはこの為です。
人の体は食べ物がなくても、水さえあれば1ヶ月近く生きることができます。水が飲めないと、2~3日で生命維持は困難になります。
体から水分が1%の損失で、喉の渇き、2%の損失でめまいや吐き気、食欲減退などが現れます。10~12%の損失では筋けいれん、失神、20%の損失では生命の危機になり、死に至ってしまいます。
体の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、様々な健康障害のリスクの要因にもなります。
水分が不足すると、血液がドロドロになり脂肪などが血液中に大量に滞り、スムーズに流れない状態になります。また、血液は酸素を運んでいるので、血液の流れが悪くなると細胞に酸素が届かず、免疫力の低下、脳や内臓の機能の低下などを引き起こしてしまいます。水を飲むことでトイレに行く回数が増え老廃物が排泄され、血液もサラサラになり血液の循環が促進され解消されます。
常温の水を飲むと、体の中から温まり、代謝がアップします。また水を飲むことで、筋肉にしっかりと血液が送り込まれ、効率よく筋肉量が増えます。筋肉量が増えると基礎代謝量も増え、痩せ体質になります。
美容効果でも、肌の中まで水分を補うためには水を飲むことで、シミやしわ、くすみなども細胞の中の老廃物や毒素が排出され、細胞に必要な栄養素が補え、古い細胞が新しい細胞へと変わり、肌の新陳代謝が改善されます。
1日の水分補給量の目安【体重(kg)×3%】
例)体重50kg×3%=1.5L
水には口からの『飲料水』、食べ物の中に含まれる水の『摂取される水』と、体内で栄養素がエネルギーに変わるときに生成される『代謝水』があり、それらの摂取される水と代謝される水の総量は1日約2,700~3,900mlです。飲料水から約1,200~2,400ml、食事(3食)から摂取する水は約1,200ml、代謝水は約300mlです。